I Love スヌーピー THE PEANUTS MOVIE 評論

  
この作品にはスヌーピーが主人公になって、レッド・バロンと空中戦を繰り広げる想像の世界とチャーリー・ブラウンが赤毛の女の子に想いを寄せる恋愛譚の2軸のストーリーがあって、スヌーピーの冒険譚にはアクションが主の子供向きの話しになっているが、チャーリー・ブラウンの物語は人生の教訓に溢れて大人には特に共感するストーリーになっている。

何をやっても失敗ばかりのチャーリー・ブラウンだが、誠実に正直に、時に辛くても正しい判断をして愚直に生きている。時折、チャーリー・ブラウンがふと呟くmaximにハッとさせられる。大袈裟に言えば宇宙の真理について説かれたような気がしてしまうのだ。チャーリー・ブラウンの人生の至言も作品にちりばめられて、この小さな哲学者に共感することが多い。

 

チャーリー・ブラウンは野球の試合に出ては負け続け、凧揚げをしようとしてもまともに揚げたことのないloserだが、それでも周囲のクラスメートからは慕われている。ペパーミントパティからも一目置かれ、こう見えても彼は結構モテているのだ。いい女はいい男とは何かを知っているのだ。

 

ピーナッツの世界は優しい大人の世界のミニチュアだ。ほんとうの大人の世界には偽りや裏切りがあるが、ピーナッツの世界はそんな汚れた大人の世界ではなく大人でも心に描く理想の世界を反映している。大人の誰もが持っている心の中の子供時代、それがピーナッツなのである。その郷愁を抱えるように、この作品では携帯電話もコンピュータも登場しない。ピーナッツの世界観を損なわないように作品の時代が1980年代に設定されているからだ。また、大人もあからさまには登場することはなく、チャーリーが隣家を訪ねても意図的にカメラが大人を映さないようにしている。それだけピーナッツの世界観に配慮している製作者の工夫を讃えたい。子供の目には少し奇異に映るかもしれないがこの長閑な風景あるいは大人の憧憬を、興味をもって見てくれると思う。日常に心を擦り減らした大人にもきっとこのストーリーは心に沁み入るだろう。

ピーナッツはシュルツ父子のチャーリー・ブラウンとその仲間達への温かいまなざしが感じられて映画も見ているとほっこりとした感情が込み上がってくる。

 

メーガン・トレーナーの明るくダンサブルな主題歌も一聴の価値あり。

Meghan Trainor - Better When I'm Dancin'
https://youtu.be/pkCyfBibIbI

同じく彼女が歌うエンディングの”Good To Be Alive”も良い曲なので合わせて聴いてみるのも良いだろう。

 

公開は12月だが、心が温まりたいひとにはとくにお勧めしたい。

 

★★★★★

 

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