ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期 評論
© Universal Pictures
2001年からこのシリーズが始まって早16年。
ブリジット・ジョーンズはユニークなユーモアを持ちながらも一本芯のある女性としてキャリアをスタートし、彼女の成長を見守るように我々もまた成長した。
『スリーメン&ベイビー』『マンマミーヤ』系の話なのですが、才媛のエマ・トンプソンが脚本に参画しているからなのか、コメディの部分が、相当エッジが効いていて面白いです。
個人的な感想になりますが、リベラルは素晴らしいかな、と。この作品にはリベラルな気風が横溢しています。ブリジットも性的に奔放な面もあればゲイの友人とバーでの一杯を楽しみにしたりしています。キャリアウーマンであるブリジットもまたリベラル寄りになるのは必然といえます。
内容は明かせないのだけれど、ブリジットが最終的に結ばれたのは相手の思想に共感したせいもあるのだと思います。
たくさん笑えて少し泣ける作品。笑いすぎて腸捻転になる恐れがあるので、赤西蠣太さんは要注意です。容体が悪くなるから。
難をいえば、アメリカのテレビドラマや近年流行したカンナムスタイルなど積極的に世相を切り取って作品に取り込んでいるけれど余程感度の高い人でないと理解は難しいでしょう。そういう点でいうと海外の芸能通を自負している人には博識さを試されるような内容です。
なので、エド・シーランくらいは事前にApple Musicで彼のアルバムを聴いておいたほうがよいかもしれません。
コリン・ファース演じる頑固で典型的なイギリス人と、パトリック・デンプシー演じる合理主義を体現するアメリカの実業家からなるステレオタイプなファクターを作品に投げ入れその化学変化を面白おかしく楽しむのが本作といえるでしょう。
保守派の村会議員でもあるブリジットの母親が娘の妊娠でころりと転向する様子も結構笑えます。
映画の終わり方も続編を匂わせる結末になっています。
ブリジット・ジョーンズは我々と同じ世界で生き呼吸し、時代に合わせてその人生も変わってくる。現代を生きる人の感覚と乖離しないシームレスな感覚が味わえる稀有な作品といえるでしょう。
★★★★★
2016年10月29日(土)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー