プロミスト・ランド 評論

『グッドウィル・ハンティング』でタッグを組んだマット・デイモンとガス・ヴァン・サントが久しぶりに取り組む社会派ドラマです。

正式な評論は追って映画ジャッジに掲載しますが、覚書として書きますと、この作品はシェールガス採掘で狂奔する人たちに自助独立の精神を思い出してもらおうとする製作者の訴えが分かるドラマです。それはラストのマット・デイモンの独演で分かるのですが、シェールガスラッシュというべき再び巡ってきたゴールドラッシュに自分を見失わないでしっかり足元を見て歩みましょうというマット・デイモンのメッセージが籠められている気がしました。

貧しい農場主がシェールガスの掘削権を譲渡して一夜にして成功者になってしまうのはべつに海を越えたよその国の話というのでもなく、日本も工場を田舎に誘致して町を活性化させようとかしていろいろ模索しているので、これは対岸の火事じゃないんですよね。日本も原発を誘致したときに公民館を建ててもらったりと旨味も味合わされるのですが、その点もしっかりこの映画で描かれています。うろ覚えなのですが、コントラクターであるマット・デイモンが、住民の歓心を買うために即席遊技場を設営するのですけれど、「たとえ契約が取れなくても彼らにカネの旨味を覚えさせてやるんだ!」というくだりのセリフは鬼気迫るものがありました。逆を言えばこういった消費意欲は企業の策謀により作り出されたものなんじゃないかと言うことです。裏を返せばそういうことになるでしょう。そういった製作者側の批判も上手にすべり込ませています。

シェールガスは第三のエネルギー革命と言われていますが、もろでを挙げて歓迎している人ばかりでないところが多様性の国アメリカらしいです。もちろん日本にだってこういった自省的な映画も出ていますが、そこが民主主義国家の良いところだと屈託なくそう思いました。

 

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