マッドマックス 怒りのデスロード 評論

たぎるアドレナリン、ほとばしるドーパミン。
怒り、哀しみ、そして淡い恋を乗せて緑の大地を目指し反逆のトレーラーはデスロードを突っ走る。
痛快無比アクション。
殆ど体を成さ無いストーリーに生存本能を刺激するプリミティブな感情が加わるとアドレナリンが沸騰するような興奮に包まれる。ひたすら生を渇望するマックス達とイモータン・ジョー率いる狂気の軍団の死生観が対比するように交錯し、過酷な運命の中で必死にもがく人間の魂を浮き彫りにしていく。
瑣末なサブストーリーをばっさり切り落とし、そのほとんどが短い回想で済まされている。デスロードを突っ走る主人公とそれを追うイモータン・ジョーの攻防が映画の核になり、畳み掛けるようなアクションの中で、イモータン・ジョー率いる狂気の軍団のファシズム的な思想を挿入し説明がましくなく物語の流れを止めず様々な人物の心理を描く手腕は鮮やか。イモータン・ジョーを裏切った幹部フュリオサとマックス、その他の登場人物の生存への渇望と葛藤が、スクリーンに滲み出るように色濃く描かれ、生きることは闘争すること、わき目も振らず、我武者羅に、資源が枯渇した過酷な環境の中でも生き抜こうとする人間の意志に観ているだけでも武者震いしてくる。
こんな未来世界は過酷で辛いが、マックスたちは魂をむき出しにして、あられもなく生に固執する姿は本来あるべき人間の姿であることを気づかせてくれる。我々は一応安逸な世界で暮らしてはいるけれど、こうも過酷な世界でタフネスに生きる人達を見ていると、生きることがつまらないとか憂鬱だとか言う不満が空疎に聞こえてしまう。人間はより善きものを希求し、そのために闘う。終わることなき時の中で限られた時間を生きる人間の使命はまさにそれに尽きるのである。

 

★★★★

 

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