Movie Review-す
スターウォーズ フォースの覚醒
30余年の月日を経てもはや伝説となっているシリーズなだけに、安易な路線変更もリスクが伴う。思えば、2000年代に作られた続編もやはり父性の属性を持つ師匠とその弟子が織りなすエディプスコンプレックスの再現だった。スターウォーズシリーズにはくどいくらいにこの神話的エピソードが挿入され、スペースオペラを盛り上げている。
本作はエピソード4・5・6のいいとこ取りした懐かしの昭和歌謡並みのメドレーであり、新味さが感じられない。懐古主義という批判も甘受せねばならないだろう。だが、神話とは語り部が変わっても、内容に若干の修正を加えながら語り続けられていくものなのである。
今回のスターウォーズには作品性としての冒険は無いが、新たな章の嚆矢としては格好のストーリーだったように思う。往年の世代には懐かしさを、新世代には新しさを。
歌舞伎の演目のように似たような内容にも主人公の大見得を切る大立ち回りには観客は拍手喝采するのである。それがスターウォーズの正しい楽しみ方だと思う。我々は神話を受け取り後世に伝えていくのだ。今作はその架橋というべきだろう。今作では帝国軍の一兵卒でしかないストームトルーパーにも焦点を当て活躍の場を与えている点でも見るべきものがある。
螺旋階段のように同じ場を行き来しているようでも少しずつ上昇しているのである。このストームトルーパーの参入もこの神話を盛り上げるうえでの重要な要素であり変化でもある。歌舞伎を楽しめる人ならばきっと今作の良さにも気付くはずだ。というか、我々がスターウォーズに求めているのは、まさにこのことではないのか。
★★★★